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【2025年版】歯科衛生士の給料を徹底調査!年収の平均と地域差・職場差も比較
歯科衛生士として働いている方や、これから目指す方にとって「お給料はどれくらいなのか」は気になるところではないでしょうか。国家資格を持つ専門職として安定した収入があると言われていますが、実際のところはどうなのでしょう。
この記事では、歯科衛生士の方のお給料について、最新のデータをもとに詳しくご紹介します。全国平均から地域ごとの違い、勤務先による差、年齢に応じたキャリアパスまで詳しく解説します。また、収入アップにつながる資格取得やキャリアアップの方法についてもお伝えしていきたいと思います。
このコラムを読んでわかること
・給料アップには、専門資格の取得や得意分野への挑戦が役立ちます。
・医療アートメイクは、歯科衛生士の知識を活かせる新たなキャリアの選択肢です。
・フリーランスや管理職として働くことで、収入の幅を広げることも可能です。
・給料や働く環境を見直す際は、貢献内容を丁寧に伝え、福利厚生について相談してみるのも良い方法です。
歯科衛生士の全国平均給料はいくら?基本データを確認

まずは歯科衛生士の基本的な給与水準を確認していきましょう。
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月給・年収の全国平均
令和5年の賃金構造基本統計調査によると、歯科衛生士の全国平均の月給は30.7万円(※所定内給与額・月額)となっています。手取りではおよそ21万円前後と考えられます。また、賞与(ボーナス)を含めた年収の全国平均は約369万円となっています。
これは厚生労働省の賃金構造基本統計調査などの公的データに基づいた数字ですが、実際の収入は勤務先や地域、経験年数によって大きく変わります。正社員として働く場合、年収はおおよそ300万円〜450万円と考えておくとよいでしょう。
参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
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初任給の相場
新卒の歯科衛生士の方の初任給は、全国平均でおおよそ16万円〜19万円とされています。都市部では20万円を超える場合もありますが、地方では16万円前後からのスタートが一般的なようです。
専門学校卒と短大・大学卒では、初任給にやや差が見られ、学歴が高いほど少し高めになる傾向があります。また、土日勤務の有無や夜間診療への対応など、働く条件によっても初任給は変わってきます。
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時給・パート勤務の相場
パートやアルバイトとして働く歯科衛生士の方の時給は、1,200円〜1,800円が目安です。なお、経験が豊富な場合や専門的な技術を持っている場合は、2,000円を超えることもあります。
パート勤務の場合、週3〜4日、1日5〜6時間程度の勤務で月収はおおよそ12万円〜15万円が一般的です。ワークライフバランスを大切にしたい方にとっては、柔軟性があり魅力的な働き方と言えるでしょう。
歯科衛生士の給料に影響する主な要因

歯科衛生士の給料は様々な要因によって変動します。主な影響要因を詳しくみていきましょう。
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地域による給料差
歯科衛生士の給料は地域によって大きく異なります。一般的に、大都市圏ほど給料が高い傾向にあります。
地域 平均月給 平均年収 東京都 約30万円 約430万円 大阪府 約28万円 約400万円 愛知県 約27万円 約380万円 北海道 約24万円 約350万円 宮崎県 約22万円 約320万円 東京や大阪などの大都市では歯科医院が多く、人材確保に力を入れているため、比較的高めのお給料が提示されることも少なくありません。
一方、地方ではお給料がやや控えめな傾向がありますが、家賃や生活費などのコストを抑えやすく、ゆとりのある暮らしができるという魅力もあります。「収入」と「暮らしやすさ」のバランスを考えながら、自分に合った地域を選ぶことが大切です。
また、求人数の多い都市部では、転職による収入アップも目指しやすいため、キャリアアップを視野に入れるのであれば、地域を変えるという選択も一つの方法です。
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勤務先による給与差
歯科衛生士の給料は勤務先によっても大きく異なります。主な勤務先別の給料相場をみてみましょう。
- 一般歯科クリニック:月給22万円~26万円
- 大学病院・総合病院:月給26万円~30万円
- 矯正歯科専門クリニック:月給25万円~29万円
- 審美歯科・インプラント専門クリニック:月給28万円~35万円
- 訪問歯科:月給25万円~32万円
審美歯科やインプラント専門のクリニックでは、自費診療が中心となるため、1人の患者さまに対する診療単価が高く、医院の収益にもつながりやすい傾向があります。そのため、スタッフのお給料にも還元されやすく、やりがいやモチベーションにもつながりやすい環境と言えるでしょう。
一方、大学病院や総合病院は公的な機関であることが多く、社会保険や休暇制度などの福利厚生がしっかり整っているのが特徴です。安定した職場で、長く安心して働きたいと考える方にとっては、大きな魅力になるはずです。また、訪問歯科は、患者さまのご自宅や施設に伺うという特性上、移動や限られた設備の中での対応など、想像以上に工夫や気配りが求められます。決して簡単な仕事ではありませんが、その分お給料が高めに設定されていることも多く、感謝の言葉に励まされながら働くやりがいも感じられる現場です。
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経験年数・年齢による給与差
歯科衛生士の給料は経験年数や年齢によっても変動します。一般的な給料の推移をみてみましょう。
年齢層 平均月給 平均年収 20代前半(新卒~3年目) 約22万円 約300万円 20代後半(4~8年目) 約25万円 約340万円 30代前半(9~13年目) 約27万円 約370万円 30代後半~40代前半 約29万円 約400万円 40代後半~50代 約30万円 約420万円 歯科衛生士のお給料は、経験年数に応じて緩やかに上がっていく傾向にあります。特に、経験を積むことで技術力が向上し、患者さまの対応や専門的な処置もスムーズに行えるようになるため、それに応じて給料も上がっていきます。
一般的には、30代後半から40代にかけてお給料のピークを迎えることが多いようです。ただし、昇給のペースは勤務先によって差があり、小規模なクリニックでは緩やかなケースもあります。
歯科衛生士の賞与・手当・福利厚生の実態

給料以外の待遇も含めた総合的な収入を考えるうえで、賞与や各種手当、福利厚生は重要なポイントです。
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ボーナス(賞与)の相場
歯科衛生士のボーナス(賞与)は、勤務先によって大きく異なります。一般的な相場としては、年間で基本給の2〜3か月分程度が支給されることが多いようです。
- 一般歯科クリニック:年2回、合計2~3か月分(40万円~80万円程度)
- 大学病院・総合病院:年2回、合計3~5か月分(80万円~120万円程度)
- 大手法人系列の歯科医院:年2回、合計2~4か月分(50万円~100万円程度)
医療法人や大学病院などの大きな医療機関では、比較的しっかりとしたボーナスが支給される傾向にあります。一方、個人経営の小さなクリニックでは、業績によってボーナスの額が変動したり、ボーナス自体がなかったりする場合もあるようです。
求人情報をみる際は、基本給だけでなく、賞与の有無や過去の支給実績もあわせて確認しておくと安心です。
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各種手当の種類と金額
歯科衛生士の職場では、基本給に加えて様々な手当が支給されることがあります。主な手当の種類と一般的な金額をみてみましょう。
- 資格手当:5,000円~20,000円/月
- 技能手当:5,000円~30,000円/月
- 住宅手当:10,000円~30,000円/月
- 通勤手当:実費支給(上限あり)
- 残業手当:時給の1.25倍~1.5倍
- 休日出勤手当:時給の1.35倍~1.5倍
- 役職手当(主任・管理者など):10,000円~50,000円/月
特に医療法人や大きなクリニックでは、役職手当や資格手当などの各種手当が充実している傾向にあります。専門的な資格を取得することで資格手当が付くケースが多いため、キャリアアップと収入アップの両方を目指せるのは嬉しいポイントです。
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福利厚生の比較
歯科衛生士の職場では、基本給に加えて様々な手当が支給されることがあります。主な手当の種類と一般的な金額をみてみましょう。
勤務先 社会保険 退職金制度 その他の福利厚生 大学病院・総合病院 完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険) あり(勤続年数に応じて) 職員寮、院内保育所、食堂補助、研修制度など 医療法人系列クリニック 完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険) あり(勤続年数に応じて) 研修制度、福利厚生サービス、資格取得支援など 個人経営クリニック 社会保険加入率は医院による(社会保険完備の医院も増加中) 少ない(制度がない場合も) 医院による(職員旅行、誕生日祝いなど) 訪問歯科 完備(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険) 法人による ガソリン代補助、車両貸与など 福利厚生の面では、大学病院や大手医療法人のクリニックが、特に充実している傾向にあります。社会保険の完備はもちろん、退職金や研修、育児支援制度などが整っていることも多く、安心して働ける環境が魅力です。
一方、個人経営の小さなクリニックでは、社会保険が完備されていない場合もあります。しかし最近では完備している医院も増えてきているため、給料面だけでなく、こうした福利厚生もふまえて自分に合った職場を選ぶことが大切です。
歯科衛生士の給料アップにつながる資格と専門分野

歯科衛生士としてより高い収入を目指すには、専門的なスキルや資格の取得が有効です。給料アップにつながる資格や専門分野を紹介します。
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給料アップにつながる注目の資格とスキル
歯科衛生士としての基本資格に加えて、以下のような専門資格を取得することで、給料アップやキャリアアップにつながる可能性があります。
資格名 特徴 期待される効果 ホワイトニングコーディネーター 審美歯科での需要が高い 月給1~3万円アップが期待できる。ホワイトニングの提案や施術サポートができるようになり、患者さんからの指名が増えることも。 インプラント専門歯科衛生士 高度な専門知識が求められる 月給2~5万円アップが期待できる。インプラント手術をサポートできる人材として重宝される。 認定訪問歯科衛生士 訪問歯科での専門性を証明できる 月給2~4万円アップが期待できる。施設や在宅の現場で活躍の場が広がり、需要が高まっている。 歯科衛生士エキスパート 専門的な知識と技術を証明する資格 月給1~3万円アップが期待できる。後輩指導やチームリーダーとしての役割を任されやすくなる。 摂食嚥下リハビリテーション認定士 高齢者医療や障害者歯科で求められる 月給2~4万円アップが期待できる。嚥下障害への専門的な対応ができるため、医療機関や介護施設での活躍が見込める。 これらの資格を取得することで、専門性の高い業務を任されるようになり、それに伴ってお給料が上がることも少なくありません。特に審美歯科やインプラント専門クリニックなど自費診療の割合が高い医院では、専門資格を持つ歯科衛生士の方が求められる傾向にあります。
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美容・医療アートメイクへの挑戦という新たな道
歯科衛生士として働きながら、副業で医療アートメイクに取り組むという新しい働き方が注目されています。
医療アートメイクとは、眉・アイライン・リップラインなどに施術する、美容と医療が融合した施術です。歯科衛生士が施術できるのは「リップライン」に限られ、歯科医師の指示のもとでのみ認められています(厚生労働省の見解より)。
歯科衛生士は、解剖学や皮膚・粘膜の構造、感染予防などの専門知識を有しており、衛生管理にも長けているため、医療アートメイクの分野でもその知識と経験を活かすことができます。専門講習で技術を磨けば、フリーランスとしての活躍の場も広がるでしょう。
実際、1回の施術で5万〜15万円の報酬が見込まれることもあり、本業と並行して収入を増やす副業としても有望です。歯科衛生士の専門性を活かして差別化できる点も、大きな魅力です。
医療アートメイクの技術習得には、医療従事者向けの専門スクールの受講が推奨されます。たとえば、IMAAアートメイクスクールでは、歯科衛生士向けのリップラインのカリキュラムも提供しているため、自身の資格に合わせた内容を受講することが大切です。
医療アートメイクを基礎から学ぶ人に向けたコラムも併せてお読みください。歯科衛生士としての専門知識を活かすことで、施術者として他との差別化を図ることもできるため、新たなキャリアの一歩としても有望な選択肢です。
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自分らしく働く|フリーランス・副業の可能性
フリーランスとして働く歯科衛生士の収入は、勤務先や働き方、専門性によって大きく異なります。一般的には時給2,000円〜3,500円程度で、月収にすると20万円〜50万円程度となることが多いようです。
フリーランスのメリットは、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間や職場を選べる点にあります。複数のクリニックと契約を結び、それぞれの特性に合わせたスキルを提供することで、高収入を目指すことも可能です。
特に技術力の高い方や、インプラント治療や審美歯科などの専門分野に特化した歯科衛生士は、フリーランスとして高い評価と報酬を得やすい傾向にあります。技術と経験を積んでから独立することで、勤務時間を抑えながらも高収入を目指せる可能性が高まります。
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管理職への道と給与の変化
歯科衛生士が勤務先のクリニックで管理職へ昇進すると、収入面でも変化が生じます。一般的な管理職ポジションと収入の目安は以下の通りです。
役職 主な業務 月給の目安 主任歯科衛生士 タッフの育成・指導、シフト管理など 28万円~32万円 歯科衛生士長 衛生士チームの統括、業務改善、採用関与など 32万円~38万円 事務長・院長補佐 クリニック全体の運営管理、経営参画など 35万円~45万円 管理職になると、歯科衛生士としての技術的な業務に加え、スタッフの管理や業務改善、経営参画といった役割も担うようになります。それに伴い、基本給の増加や役職手当が支給されることで収入もアップします。
ただし、管理職のポジションには限りがあり、昇進のチャンスが少ないのが現実です。特に小規模なクリニックでは管理職というポジション自体が設けられていないこともあります。管理職を目指す場合は、大きなクリニックや医療法人の歯科医院を選ぶと良いでしょう。
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キャリアの選択肢を広げる他分野への展開
歯科衛生士のキャリアは、院内だけにとどまりません。歯科衛生士養成学校の教員や、医療機器メーカーでの営業・教育職などへの転職もあります。
また、予防歯科やデンタルエステの開業など、独立という選択肢もあります。ただし、収入よりも「自分らしい働き方」やライフスタイル重視で選ばれる傾向にあります。
- 専門分野への特化:矯正歯科、小児歯科、審美歯科、インプラント、訪問歯科など
- 教育機関への転身:歯科衛生士養成学校の教員
- 医療機器メーカーへの転職:営業職やコンサルタント
- 独立開業:予防歯科専門サロン、デンタルエステなど
- フリーランス:複数のクリニックと契約
- 異業種への展開:医療アートメイク施術者など
キャリアの選択肢は多様に広がっていますが、何より大切なのは「自分に合った道」を見つけることです。興味のある分野を深めたり、働き方を少し変えてみたりすることで、やりがいや収入の可能性も広がっていきます。
たとえば専門分野に特化したり、フリーランスとして独立したりすることで、自分のスキルがより高く評価される場面も増えてきます。もちろんその分、責任や学び続ける姿勢も求められますが、「自分らしい働き方」を目指す方にとっては、大きなチャンスと言えるでしょう。
歯科衛生士の働き方改革と給料の今後

歯科医療業界でも働き方改革が進んでおり、それに伴って歯科衛生士の給与体系にも変化が訪れています。
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勤務形態の多様化と給料の関係
近年、歯科衛生士の勤務形態は多様化が進んでおり、従来の週5日フルタイム勤務に加え、週3〜4日のパート勤務や短時間勤務など、柔軟な働き方を選べるようになってきました。
以下は、勤務形態ごとの主な給料目安です
- フルタイム勤務(週5日、1日8時間):月給制が一般的(22万円~30万円程度)
- パートタイム勤務(週3〜4日、1日5〜6時間):時給制が一般的(1,200円~1,800円程度)
- 短時間勤務(週2〜3日、1日3〜4時間):時給制が一般的(1,200円~1,800円程度)
- 夜間診療専門:時給が割増になることが多い(1,500円~2,200円程度)
柔軟な働き方が可能になった一方で、フルタイム勤務でなければ昇給や昇進の機会が限られるケースもあります。ライフステージに応じて勤務形態を選びやすい環境かどうかは、職場選びの重要なポイントになります。
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歯科衛生士不足と給与水準の変化
日本では歯科衛生士の需要に対して供給が追いついておらず、慢性的な人材不足が続いています。厚生労働省の「歯科衛生士に対する復職支援・離職防止等推進事業」によれば、令和2年時点で7割の都道府県が「歯科衛生士不足」を感じていると回答しています。
この慢性的な人材不足を背景に、歯科衛生士の給与水準は緩やかな上昇傾向にあります。特に都市部では人材確保のため、給与アップや福利厚生の拡充など待遇改善の動きが見られます。
今後もこの傾向は続くと予想され、給与は徐々に上昇していく可能性が高いでしょう。ただし、地域差は依然として大きく、都市部と地方では給与・待遇に大きな違いがある点には注意が必要です。
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給料交渉のポイントと注意点
歯科衛生士として給料を見直したいとき、交渉の場で重要になるのは「客観的な根拠」と「タイミング」です。以下の5つのポイントを押さえて準備を進めましょう
- 自分の市場価値を把握する:同地域の同経験年数の歯科衛生士の平均給与を調べてお
- 実績とスキルを明確に示す:患者からの評価や習得した技術など、自分の強みを整理する
- 保有資格や専門性をアピールする:特定の分野での専門性や取得した資格を伝える
- 具体的な数字を提示する:「○○万円程度希望します」など明確に伝える
- タイミングを見極める:医院の繁忙期を避け、落ち着いた時期に交渉する
給料交渉では、「なぜその金額が妥当なのか」「医院にどう貢献しているのか」を具体的に説明することが、前向きな話し合いにつながります。患者満足度の向上や、業務の効率化への貢献など、経営的な視点からのアピールも有効です。
また、給与の増額が難しい場合は、福利厚生や勤務条件の改善を交渉するという選択肢もあります。たとえば、研修費の補助、柔軟な勤務時間制度、休暇の取りやすさの向上なども「働きやすさ」に大きく影響します。
まとめ
ここまで、歯科衛生士の方の給料事情について、全国平均から地域差、職場による違い、キャリアパスによる変化まで幅広くお伝えしてきました。
自分のキャリアプランに合った道を選ぶためにも、様々な可能性に目を向けてみてください。特に医療アートメイクなど新しい分野にチャレンジしてみたい方は、IMAAアートメイクスクールなどの専門機関で学ぶことをおすすめします。歯科衛生士としての経験を活かしながら、さらなるキャリアアップを目指していきましょう。