- 基礎知識
アートメイクアーティストとは?仕事内容や必要な資格をご紹介

アートメイクアーティストは、眉やアイライン、リップなどに専用の色素を入れ、すっぴんでも整った印象をつくり出す美容医療のプロです。メイクの時短や自然な仕上がりを求める方の増加により、注目を集めている職業のひとつともいえます。
本記事では、アートメイクアーティストの具体的な仕事内容や、目指すうえで必要な資格・スキルについてご紹介。美容業界で専門技術を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
このコラムを読んでわかること
・アートメイクアーティストの基本的な役割や、医師・看護師・准看護師または、歯科医師・歯科衛生士と連携して行う医療行為としての位置づけが理解できる。
・医療資格や民間認定ライセンス、スクール選びのポイントなど、アートメイクアーティストになるための具体的な学び方がわかる。
・骨格分析・毛流れ・色選びなどのデザイン技術に加え、カウンセリング力や修正力といった必要なスキルが理解できる。
・クリニック勤務や独立開業などの働き方の違い、安全性・衛生管理・継続的なスキルアップの重要性が学べる。
アートメイクアーティストとは|役割と将来性を1分で理解

アートメイクアーティストは、医療や美容の知識をもとに、眉やアイライン、リップなどにメイクを施す専門職です。まずは、その役割と将来性を簡潔に解説します。
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アートメイクアーティストの役割と活躍の場
アートメイクアーティストは、眉・アイライン・リップなどに色素を入れて美しさを持続させる美容医療のプロです。お客様の希望や顔立ちに合わせたデザインを提案し、骨格や表情を分析しながら自然な仕上がりを実現します。
活躍の場は、美容クリニックや美容皮膚科、医療アートメイク専門クリニック、スクールでの講師業など多岐にわたります。
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医師・看護師との関係性と施術の位置づけ
医療アートメイクは法律で医療行為と定められており、施術を行えるのは医師、または医師の指示を受けた看護師だけです。医療機関内で実施され、医師の監督のもと安全管理を徹底することが求められます。
現場ではチーム医療としての連携も欠かせません。医師は診察や麻酔、トラブル対応を担当し、看護師でもあるアートメイクアーティストがカウンセリングからデザイン、施術までを担います。
アートメイクアーティストになるための資格と学び方

アートメイクは医療行為にあたるため、施術を行うには医師や看護師などの医療資格が必要です。ここでは、必要な資格の種類や、学び方を紹介します。
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認定資格やスクールの選び方
アートメイクアーティストになるには、まず看護師免許または医師免許が必要です。アートメイク自体に国家資格はありませんが、医療資格が前提となります。一方、民間認定資格にはIMAA認定資格やJAA認定資格などがあり、技術力の証明になるため取得して損はありません。
スクール選びでは、実技時間の多さとモデル施術の回数を重視しましょう。卒業後のサポート体制や講師の実績、少人数制かマンツーマンかなども細かくチェックしておくと安心です。
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無料セミナーと有料スクールの使い分け
スクールを選ぶ際は、まず無料セミナーに参加して実際の雰囲気を確かめるとよいでしょう。医療アートメイクの仕事内容を具体的に把握できるだけでなく、スクールや講師との相性も見極められます。
一方、有料スクールではより実践的な内容を学びます。眉やアイラインなどの施術技術に加え、デザイン理論や骨格分析、衛生管理などを体系的に習得。さらに、カウンセリングからアフターケアまで、現場で求められる知識と対応力が幅広く身につけられます。
医療アートメイクは実技を重視する分野です。独学では限界があるため、モデル施術を多く経験できる有料スクールでの学びが、確かな技術を身につける近道となります。
求められるスキルとセンス

医療アートメイクはただ「描く」だけの仕事ではありません。お客様の印象を左右する繊細な施術だからこそ、専門的な技術に加えて感性や対応力が試されます。
それでは、実際にどのようなスキルやセンスが求められるのでしょうか。ここでは、3つにまとめましたので、さっそくみていきましょう。
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自然に見える眉を作るための基礎(骨格・毛流れ・色選び)
自然な眉をデザインするには、骨格・毛流れ・色選びの3要素を総合的に理解することが重要です。
要素 内容 ポイント 骨格分析 顔型に合わせて眉の形を設計し、目と眉の距離や左右差を整える 丸顔にはアーチ眉、面長には平行眉など、バランスを重視 毛流れ 毛並みを1本ずつ描く技法(3D・4D)で自然な流れを再現 毛の向きや角度を正確に観察し、自眉との調和を意識 色選び 肌色・髪色・瞳の色に合わせて色素を選び、退色も考慮 黒すぎる色を避け、ブラウン系を基調に複数色をブレンド -
不自然になりやすいポイントと修正力
医療アートメイクで起こりやすい失敗には、次のような例があります。
- 眉頭が濃くなりすぎて不自然に見える
- 左右の高さや形にズレがある
- 色素が濃すぎて時間が経っても消えにくい
- 毛流れの方向が逆で違和感がある
こうしたトラブルを補正するには、レーザー除去などの高度な修正技術が求められます。また、既存の形を活かして再デザインする柔軟な発想も重要です。
他店での施術に悩むお客様に的確な対応ができれば、「信頼して任せられるアーティスト」として評価を高めるきっかけにもなるでしょう。
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カウンセリングで希望を引き出す会話スキル
カウンセリングは、仕上がりの満足度を左右する重要なステップです。まずは、お客様のメイク習慣やライフスタイルを丁寧に聞き取り、理想とする雰囲気やなりたい印象を一緒に探っていきます。骨格や表情の特徴を踏まえたうえで、似合う形を提案しながら、施術のメリットとデメリットを誠実に伝える姿勢が信頼につながります。
多くの方は「どんな眉が自分に合うのか分からない」と感じているため、写真や鏡を使ってデザイン案を共有し、実際の仕上がりをイメージしてもらいましょう。
信頼関係を育むうえでは専門用語をできるだけ避け、誰にでも理解しやすい言葉を選ぶことが大切。お客様の不安や疑問に丁寧に応え、アフターケアまで寄り添う姿勢が、安心感とリピートにつながるでしょう。
働き方とキャリアの広がり

アートメイクアーティストの働き方は、クリニック勤務から独立開業までさまざまです。経験を積むことで講師や教育者として活躍する道も開かれています。ここでは、具体的な働き方のスタイルや、キャリアアップの可能性について解説します。
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クリニック勤務とフリーランスの違い
クリニック勤務では安定した給与と福利厚生が得られます。集客はクリニックが担当するため、施術に集中できる環境。チーム医療で安心感があり、勤務時間が決まっているため、プライベートとの両立もしやすい働き方です。
フリーランスは収入の上限がなく、自分でブランディングと集客を行います。場所や時間の自由度が高く、複数クリニックと業務委託契約を結ぶスタイルが一般的です。
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看護師からのキャリアチェンジ事例
看護師からアートメイクアーティストへと道を変える方も増えています。夜勤のない働き方を望む方、美容医療に関心がある方、専門的な技術を磨きながら長く働き続けたい人など、転身の理由はそれぞれです。
転職を目指す多くの方は、美容クリニックで看護師として勤務しながら医療アートメイクを学んだり、休日を使ってスクールに通ったりと、現場経験と学びを両立しています。病棟で培った観察力や丁寧な対応力を活かし、カウンセリングに定評のあるアーティストとして活躍するケースもみられます。
看護師として積み重ねてきた経験は、衛生管理や感染対策の知識を備えている点でも大きなアドバンテージといえるでしょう。
安全性と信頼されるアーティストになるために

医療アートメイクは肌に直接施術を行うため、安全性と衛生管理が何よりも大切です。確かな技術と知識を持ち、常に最新の情報を学び続ける姿勢が信頼につながります。最後に、安心して任せられるアートメイクアーティストのポイントをまとめました。
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衛生管理・滅菌の基本
医療アートメイクでは、衛生管理が施術の安全性を左右します。手指の消毒はもちろん、使い捨て器具の使用やオートクレーブによる滅菌、施術台や器具の消毒も基本中の基本です。さらに、血液や体液の適切な処理や医療廃棄物の正しい廃棄を徹底すれば、感染リスクを最小限に抑えられます。
衛生管理をおろそかにすると、感染症の危険性が高まるだけでなく、クリニックの信頼も損なわれます。医療従事者としての基本知識はもちろん、医療アートメイク特有の注意点も含め、しっかり理解しておかなければなりません。
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学び続けるためのスキルアップ方法
学び続ける姿勢は、信頼されるアーティストの必須条件です。技術の進化に対応し、新しい技法や機器を習得しながらトレンドの変化もキャッチしましょう。さらに、失敗事例から学ぶ姿勢も大切。
スキルアップの方法としては、以下のようなものがあげられます。
- 定期的な勉強会やセミナーへの参加
- 海外の最新技術講習の受講
- SNSでの情報交換
- 他のアーティストとの技術交流
- モデルを活用した実技練習
資格の更新や追加取得も視野に入れ、上位資格へのチャレンジや講師資格の取得なども検討しましょう。
まとめ
アートメイクアーティストは、美容と医療を組み合わせた専門性の高い職業です。医療資格が必須ですが、スクールでの実技訓練と認定資格取得を通じて、確実にスキルを身につけられます。
お客様の顔立ちに合わせたデザインを提案し、自然な美しさを作り出す技術は、多くの方に喜びと自信をもたらします。クリニック勤務で経験を積んだ後は独立の道も開けており、自分らしい働き方を実現できる魅力的なキャリア。
しっかりとした準備と学びを重ねれば、やりがいと収入の両立はもちろん、長く輝き続けられる専門職として活躍できます。あなたの手で、誰かの毎日をもっと素敵に変えてみませんか。
よくある質問
- Q.アートメイクアーティストになるには何年かかる?
- A.無資格の状態からアートメイクアーティストとして活動を始めるには、准看護師の場合でもおおよそ2年半〜3年ほどの期間が必要だと考えておきましょう。
看護師の資格を取得してアートメイクアーティストを目指す場合、免許取得に2〜3年以上かかり、その後専門スクールで技術を身につけるのに半年程度といわれています。 - Q.資格や免許がないとできないの?
- A.医師、歯科医師、または看護師、准看護師、歯科衛生士の免許が必須です。アートメイクは医療行為として法律で定められているため、無資格者の施術は違法となります。美容師免許やエステティシャンの資格だけでは施術できません。

