基礎知識

アートメイク看護師として就職するには?病棟看護師との違いやメリットなどを解説

医療アートメイクを患者様に施すアートメイク看護師は、近年注目されている職業のひとつです。看護師免許を持っている方であれば、アートメイク看護師として働けるため就職活動をしても問題ありません。

しかし、何も知識や技術がない状態でアートメイク看護師を目指して就職するのは少し困難です。経験者を募集しているクリニックも多く、未経験で知識もない状態だと心許ないでしょう。

今回は、アートメイク看護師として就職するための方法をはじめ、病棟看護師との違いやメリットなどを詳しく解説します。

アートメイク看護師とは?どんな仕事をするの?

アートメイク看護師とは、文字のとおり「医療アートメイクの施術をする看護師」です。医療アートメイクとは、皮膚の浅い部分に専用の針を使って色素を入れる施術となります。

医療アートメイクは、眉毛・アイライン・リップ・ヘアラインへの施術が多く、コンプレックスを解消したりメイクの時短になったりなど魅力的です。この医療アートメイクは医療行為と認定されているため、施術者は医師や看護師の免許を持っている有資格者に限定されます。

アートメイク看護師として就職を目指す方法

アートメイク看護師として働くには、医療アートメイクを専門にしているクリニックや医療アートメイクのメニューのある美容クリニックや美容皮膚科に就職するのが一般的です。

ただし、アートメイク看護師は求人が少ない上に人気の職業であるため、何も知識のないなか面接に行っても、なかなか受かるものではありません。

さらに、採用条件として経験者を挙げているクリニックもあるため、ポイントを押さえて就職活動する必要があるでしょう。今回は、アートメイク看護師を目指すためのポイントを3つご紹介します。

  • 大前提として看護師免許が必須

    まず、大前提として医療アートメイクの仕事をするためには医師免許や看護師免許が必須です。日本では、皮膚に傷をつけて色素を入れる施術は医師法17条に該当する医療行為に認定されています。

    【医師法17条】
    ● 医師でなければ医業をしてはいけない

    医師免許や看護師免許の他にも准看護師免許や歯科医師免許を取得している方も、医療アートメイクの施術は行えます。歯科医師免許の場合は、口周りのみの施術に限られるため注意しましょう。

    なお、看護師や准看護師は医師の指示のもとでの施術しか許されていません。

  • アートメイクスクールに通って学ぶ

    看護師や准看護師の免許を持っている方は、アートメイクスクールで基本的な知識から技術まで学ぶことができます。

    病棟看護師とは異なる知識や技術がアートメイク看護師には必要です。
    基礎知識はもちろん、患者様の骨格や肌、好みを考慮してデザインや色を決める方法や、専門機器についての知識と使い方など学ぶべきことは多くあります。

    なお、アートメイクスクールは年単位ではなく数週間もしくは数カ月でカリキュラムを組んでいるところがほとんどです。短期間で学んで就職に向けて行動できるため、仕事をしながら通われる方も多くいます。

  • 未経験者歓迎のアートメイククリニックに就職する

    アートメイクスクールのカリキュラムを全て終えたら、アートメイククリニックへの就職活動を始めます。注目したいのは未経験者歓迎のアートメイククリニックです。

    経験者を募集しているクリニックが多い中でも、未経験者を採用しているクリニックもあります。このようなクリニックに採用されれば、働きながら経験を積むことが可能です。

    ある程度経験を積んだら、キャリアアップの転職もできるため、最初は未経験歓迎のクリニックへの就職を目指してみましょう。

アートメイク看護師として就職する2つの方法

具体的にアートメイク看護師として就職するには、医療アートメイクの施術ができるクリニックを探すことが必須です。特に、美容クリニックや美容皮膚科に関しては医療アートメイクのメニュー自体ない場合もあるため注意しましょう。

また、どのような就職先であっても未経験者歓迎のクリニックを見つけることが大切です。経験者を募集しているクリニックは率先力になる人材を求めているため、候補から外しておきましょう。

  • アートメイククリニックへ就職

    アートメイク看護師として活躍するには、やはりアートメイククリニックへの就職がおすすめです。美容クリニックや美容皮膚科とは異なり、医療アートメイクを専門にしているため、より専門的な施術を行えます。

    医療アートメイクの施術のみを極めていきたいと考える方は、アートメイククリニックの就職を目指しましょう。

  • 医療アートメイクのメニューがある美容クリニックなどへ就職

    アートメイククリニック以外には、美容クリニックや美容皮膚科でも医療アートメイクのメニューを取り扱っているところがあります。

    これらは医療アートメイク以外のメニューも豊富にあるため、美容全般に興味がある方にとって学びの多い職場になるでしょう。

アートメイク看護師が就職してはいけない場所

アートメイク看護師の就職先として、アートメイククリニックや美容クリニック、美容皮膚科をご紹介しました。実は、他にもアートメイク看護師として働ける手段が2つありますが、おすすめできない就職場所や環境であるのが実情です。

具体的に、どのような場所や環境がおすすめできないのか見ていきましょう。

 
  • 医師が常駐していないエステや個人サロン

    アートメイククリニックや美容クリニック、美容皮膚科に共通しているのは医師が常駐していることが挙げられます。公式サイトを見ても、院長などの顔や氏名などが明確になっているところがほとんどです。

    看護師は、医師が常駐していないクリニックでは医療行為ができません。必ず、医師の指示のもとに施術しなければならず、破った場合は違法行為になることを強く意識して行動しましょう。

  • フリーランスは経験を積んでからの方が良い

    アートメイク看護師は、フリーランスで働くことも可能です。しかし、アートメイク看護師としての経験がない場合は、いきなりフリーランスで働くのは避けた方が無難でしょう。

    接客やカウンセリングなど、病棟では経験してこなかった分野もあるなか、クレームなども全て自分で対応することになります。とはいえ、上昇志向のある方にとってフリーランスで働くのは魅力的です。

    フリーランスには、ある程度実績を積んでから転向すると良いでしょう。

アートメイク看護師として就職するメリット

ここからは、アートメイク看護師として就職するメリットをご紹介します。病棟看護師とは違う魅力がある職業であることが分かるでしょう。

 
  • 病棟看護師よりも高収入を目指せる

    まず、一つ目のメリットは病棟看護師よりも高収入を目指せる点です。アートメイク看護師の平均月収は36万円と言われており、ここに指名料などのインセンティブがつきます。

    病棟看護師は、夜勤手当などを含まず考えると平均月収25~30万円程度が相場です。

    アートメイク看護師は、病棟看護師と違って夜勤はありません。体力的にも病棟看護師より楽であるにもかかわらず、平均月収が36万円というのは魅力的です。指名数が多くなればその分インセンティブも増えるため、さらに高収入をめざすことも夢ではありません。

  • やりがいがある

    医療アートメイクの施術は、施術者によって仕上がりが異なります。そのため、毎回気に入った施術者を指名している患者様が多いのが実情です。

    自分の技術を求めて指名してくれることや指名によって得られるインセンティブなど、頑張りや努力の結果が目に見えて実感できます。このような部分は、病棟看護師とは異なるやりがいを感じられるでしょう。

  • SNSなどでアーティスト個人の力を見てもらえる

    今は、さまざまな情報をSNSから得られる時代です。医療アートメイクも例外ではなく、InstagramなどのSNSにより、自分の手がけた感じの症例写真を載せることで認知度が高まり指名数アップにもつながります。

    患者様からの感謝の声も、SNSなどを通してダイレクトに届くため、病棟看護師と異なる喜びを感じられるでしょう。

アートメイク看護師に向いている人

最後に、どのような方がアートメイク看護師に向いているか3つのポイントをご紹介します。当てはまるものがあれば、ぜひアートメイク看護師を目指してみましょう。

 
  • 患者様の気持ちを理解し寄り添える人

    これは病棟看護師にも言えることですが、患者様の気持ちを理解して寄り添える方はアートメイク看護師に向いています。

    医療アートメイクは、顔の印象を変えるため患者様が求めているデザインや色などが適していない場合は、気持ちを理解した上で提案していかなければなりません。否定するばかりでは患者様の気持ちが後ろ向きになってしまい、全て希望通りに施術してもガッカリさせてしまう結果になることに。

    しっかりと患者様に寄り添う気持ちを持ちながら、最善の医療アートメイクを提案して良い施術をしていきましょう。

  • 接客ではなく接遇マナーを守れる人

    アートメイククリニックや美容クリニックでの患者様への対応方法は、病棟にいる患者様への対応とは異なります。病棟で交わす砕けた会話や対応などは、病気で心が沈んでいる患者様にとっては大きな救いになるでしょう。

    しかし、10万円以上かけて医療アートメイクの施術を受けに来る患者様にとっては、砕けた会話や対応に対して失礼に感じる方もいるのが実情です。

    医療アートメイクを求めて来院する方は、患者様でもありお客様でもあることを忘れずに、接客ではなく接遇マナーを守って接することが大切です。

  • 美容が好きな人

    眉やアイライン、リップなどのメイクの流行りはどんどん変わるものです。さらに人によって似合うデザインや色も異なり、年齢によっても変えていく必要があります。

    そのため、仕事以外の時間にもメイクなど勉強を続けることになるため、美容が好きじゃないと長く続けられないかもしれません。

アートメイク看護師に関するよくある質問

  • Q.アートメイク看護師は何歳からなれる?

    A.看護師免許・准看護師免許があれば、どなたでもアートメイク看護師になれるので、准看護師は最年少で18歳、看護師は20歳からなることができます。

  • Q.医療アートメイクの資格はどの位で取れる?

    A.現在、厚生労働省認可の医療アートメイクの資格はありません。
    オンライン講習のみから実技講習を数回出来るスクール等様々です。
    医療アートメイクは、看護師が技術取得してから行う医療行為なので、確実に技術を習得できるスクールを選びましょう。

  • Q.看護師がアートメイクアーティストになったら?

    A.美容クリニックやアートメイク専門のクリニック、フリーランスで働かれたり、技術習得後の働き方は様々です。

まとめ

アートメイク看護師として働くためには、未経験歓迎のクリニックに就職するのが近道と思われがちです。しかし、スムーズにアートメイククリニックで働きたいのであれば、アートメイクスクールで技術や知識を身に付けておくことをおすすめします。

医療アートメイクに関する基礎知識を持ったうえで、具体的な施術内容を把握しておいた方が、自分の仕事をイメージしやすくなるでしょう。

また、向き不向きなども学んでいる期間に見えてくることもあります。就職してから向いていないと気づいても、簡単に辞めることはできません。まずは、医療アートメイクについてしっかり学ぶところから始めてみましょう。

国際美容医療アートメイク協会が運営するアートメイクスクール
IMAA事務局 広報チーム
執筆者
IMAA事務局 広報チーム

本コラムでは、皆さんに役立つ医療アートメイクに関する情報をお届けします。基礎知識から最新のトレンド情報のみならず、医療アートメイクには不可欠な眉デザインの上手な描き方やメイクアップ方法など幅広く発信します。