- 基礎知識
看護師資格なしの医療アートメイクは違法!安全なクリニックの選び方をご紹介

美しい眉やアイラインを長期間キープできる医療アートメイクは、美容施術としての人気が高まり続けています。しかし、施術には国家資格が必須であることをご存知でしょうか。
看護師資格を持たない方による施術は違法行為に該当し、重大なリスクを伴います。本記事では、医療アートメイクに必要な資格から無資格施術によるトラブル、将来この分野で働きたい方へのキャリアパスまで紹介します。施術を受ける側も提供する側も、ぜひ参考にしてください。
このコラムを読んでわかること
・医療アートメイクが医療行為とされる理由や、看護師などの医療資格が必要とされる法的根拠が理解できる。
・医師・歯科医師・歯科衛生士など、看護師以外が関わることができる範囲とその条件がわかる。
・無資格施術による炎症や感染などのリスク、医療体制を確認する重要性が学べる。
・医療資格者として医療アートメイクを仕事にするための資格取得の流れやキャリアの広がりが把握できる。
医療アートメイクは看護師資格なしではできない|その理由と法的な位置づけ

医療アートメイクは、専門的な知識と技術を要する「医療行為」です。ここでは、なぜ看護師資格が必要なのか、法的観点から解説します。
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医師法・看護師法から見た“施術できる人・できない人”
厚生労働省は2001年の通知で、「針を用いて皮膚に色素を注入する行為は医療行為である」と明示しています。つまり、医療資格を持たない人の医療アートメイクは、法律違反にあたります。
実際に施術が許可されているのは、医師・歯科医師・看護師・准看護師・歯科衛生士のいずれかの資格を持つ人のみです。また、看護師や准看護師、歯科衛生士が施術する場合は、必ず医師の指示・管理のもとで行わなければなりません。
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アートメイクが医療行為にあたる根拠
医療アートメイクでは、専用の針を使って皮膚の表面から約0.02〜0.03mmの深さに色素を注入します。皮膚のバリア機能を破り、体内に異物を入れるため、医学的には「医療行為」に該当します。
また、施術前後には医学的な判断も必要です。たとえば、皮膚状態の確認やアレルギーの有無、禁忌事項のチェックなどがあげられます。施術中に出血や腫れなどのトラブルが起きた際にも、適切な対応が必要です。
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国家資格がない人が施術すると違法になる理由
医療資格を持たない人の医療アートメイクは、医師法第17条への違反行為です。刑事罰の対象となり、3年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくはその両方が科されるおそれがあります。
過去には、無資格で施術を行った人物が実際に逮捕・起訴された事例もあります。施術を受ける際には、必ず医療資格を持つスタッフが在籍するクリニックを選びましょう。
看護師でなくても施術できる人は?他の資格とその範囲

医療アートメイクは基本的に看護師が行う医療行為ですが、条件を満たせば他の医療資格者が関わるケースもあります。ここでは、医師や歯科医師、歯科衛生士がどのような範囲で施術や補助を行えるのかを、それぞれみていきましょう。
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医師による医療アートメイク施術の特徴と実例
医師が行う医療アートメイクは、医療安全性の高さと総合的な判断力が特徴です。皮膚の状態や体質、服薬状況などを踏まえ、医学的な観点から施術の可否を判断できます。
また、出血や炎症といったトラブルが起きた場合も、その場で適切な処置を行える点が大きな強みです。
実際、医師自らが眉・アイライン・リップの施術を担当するクリニックもあります。施術のクオリティだけでなく、術後のケアや治療にも一貫して対応できるため、より安心できる選択肢といえるでしょう。
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歯科医師がリップアートメイクを行うケース
歯科医師が行うことができる医療アートメイクが、リップへの施術です。口腔内や周囲の構造を熟知している歯科医師は、麻酔の取り扱いや感染対策にも精通しており、唇や口元の施術に高い適性があります。
実際、審美歯科クリニックの一部では、歯のホワイトニングや矯正とあわせて、リップアートメイクで口元全体の印象を整えるメニューを提供しています。ただし、唇以外(眉やアイラインなど)への施術は、歯科医師の業務範囲には該当しないため注意が必要です。
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歯科衛生士が医師の管理下で関わる場合のポイント
歯科衛生士は単独で、医療アートメイク施術を行うことはできません。ただし、歯科医師の管理・指示のもとでの施術は認められています。
以前は、器具の準備や衛生管理、施術前後の患者サポートなど、医療行為に該当しない範囲でのサポート業務のみでしたが、現在は歯科医師の指導・管理のもとであれば、リップの施術のみ行うことができます。
資格なし施術で起こりやすいトラブルとリスク

なるべく費用を抑えてアートメイク施術を受けたい方にとって、無資格者によるアートメイク施術は、価格が安く魅力的に感じるでしょう。しかし、後に重大な肌トラブルや感染リスクを伴う危険があるため、避ける必要があります。
ここでは、サロンなどでの無資格者によるアートメイク施術により実際に起きやすいトラブルと、施術を受ける前に確認しておきたいポイントを紹介します。
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サロン施術による炎症・色素トラブルとは
医療資格を持たない施術者が行うアートメイクでは、針の深さや衛生管理が不十分なケースが問題視されています。皮膚の炎症や腫れ、色素の定着不良、仕上がりのムラなどが発生しやすく、最悪の場合は感染症や瘢痕化に至る場合もあります。
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受ける側が確認しておきたい「医療体制チェックリスト」
安全に施術を受けるためには、サロンやクリニックの医療体制を事前に確認しましょう。医師が常駐しているか、衛生管理が徹底されているかなどを把握しておくと安心です。
医療体制だけでなく、不安なことは施術前のカウンセリングで遠慮なく聞くようにしましょう。
資格を持つ人が行う医療アートメイクの安心感とは

医療資格を持つ施術者が行う医療アートメイクには、安全性・再現性・トラブル対応力のすべてにおいて大きな違いがあります。ここでは、医療従事者だからこそ実現できる安心のポイントをまとめました。
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医療従事者による衛生管理と感染対策
医療従事者は、施術技術だけでなく感染症予防や衛生管理に関する専門知識を備えています。医療アートメイクでは、器具の滅菌や使い捨てニードルの使用、皮膚の殺菌処理など、医療レベルの環境維持が欠かせません。
さらに、感染症のリスクを最小限に抑えるための手指消毒・環境管理・アフターケア指導までを徹底して行います。
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麻酔・色素管理など専門的サポート体制
施術中の痛みをやわらげるために用いられる麻酔の扱いや、肌質・体質に応じた色素の選定・濃度調整も、医療資格者だからこそ行える重要な対応です。
医療従事者は、皮膚構造や薬剤反応に関する知識をもとに、安全性と仕上がりのバランスを見極めながら施術を進めます。使用する色素の成分やアレルギーの有無を確認し、肌への負担を最小限に抑える工夫も欠かせません。
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有資格者によるリスク対応の違い
医療アートメイクの施術中や施術後に、出血・腫れ・アレルギー反応などが起こる可能性はゼロではありません。トラブル時に医学的判断に基づき迅速かつ的確に対応できるのは、医療資格を持つ施術者ならではの強み。
また、状態に応じて適切な薬の処方や処置が行えるため、症状の悪化を防ぎ、回復までのケアもスムーズです。単に「きれいに描く技術」ではなく、万が一のリスクにも備えられる安心感こそが、有資格者による施術の価値といえるでしょう。
将来医療アートメイクを仕事にしたい人への道

医療アートメイクは、美容医療分野の中でも需要が高まり続けている専門職です。確かな医療知識と繊細なデザイン力が求められるため、看護師や准看護師など医療資格者にとって、将来性のあるキャリアパスといえます。
ここでは、資格取得から実践までの流れ、そして美容看護師として活躍の場を広げるための方法を3つ紹介します。
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看護師・准看護師資格を取得して施術を行うまでのステップ
国家資格である看護師または准看護師免許の取得が第一歩です。取得後は、医療アートメイクを扱うクリニックや研修講座で実践的な技術を習得し、医師の指示のもとで施術が行えます。
多くの看護師が、美容外科や皮膚科で経験を積みながら、デザイン・色素・麻酔管理などを学び、専門的なスキルを自分の強みに変えています。現場での経験を重ねれば、より高い安全性と美的感性を両立した施術者が目指せるでしょう。
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美容看護師としてのキャリア拡張の可能性
美容医療の分野では、医療アートメイクのほかにもスキンケア治療・注入系施術・医療脱毛など、看護師が活躍できる領域が年々広がっています。医療アートメイクを通じて磨かれる美的センスと医療知識は、ほかの美容施術にも応用可能です。
さらに、一定の経験を積めば講師として教育に携わったり、開業クリニックの立ち上げをサポートしたりと、キャリアの幅が大きく広がります。
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学び方と資格取得に向けた具体的な準備
看護師資格の取得には一定の期間と学費が必要ですが、通信制や夜間課程を活用すれば、仕事と学業の両立も実現できます。
さらに、資格取得後は医療アートメイクの専門講習や医療機関での実地研修を通して、最新の技術や衛生管理も習得可能。 勉強と現場経験をバランスよく積み重ねれば、資格取得後すぐに現場で活躍できるスキルが身につけられるでしょう。
まとめ
医療アートメイクは見た目の美しさを叶えるだけでなく、医療的知識と安全管理の上に成り立つ医療行為です。無資格者による施術は、感染や炎症など重大なリスクを招くおそれがあるため、必ず有資格の医師・歯科医師・看護師・准看護師・歯科衛生士に依頼してください。
安全性と美しさを両立できるのは、医療の専門知識を持つプロの技術ならでは。信頼できるクリニックで、安心して理想の医療アートメイクを手に入れましょう。
よくある質問
- Q.看護師資格以外で施術できる資格はあるか
- A.医師・歯科医師・准看護師・歯科衛生士など、医療資格を持つ人のみ施術が可能です。医療資格がない人の施術は違法とされています。
- Q.無資格OKのアートメイクスクールは信頼してよいのか
- A.医師の指導や管理体制がないスクールは、法律上問題があるケースがほとんどです。受講前に必ず運営者の資格と監修体制を確認しましょう。

