- 基礎知識
医療アートメイクとは?エステや自宅サロンのアートメイクとの決定的な違い

「眉が薄く、すっぴんだと別人のように見えてしまう」「恋人にすっぴんを見られたくない」「毎朝のアイブロウやアイラインに時間がかかる」――。 こうした悩みを自然に軽くしてくれるのが、医療アートメイクです。
医療アートメイクとは、専用の針やマシンで皮膚の浅い層に色素を入れて、眉・アイライン・リップなどの色や形を1〜3年間キープする、れっきとした「医療行為」のこと。
毎日のメイク時間を短縮しながら、ノーメイクでも「ここだけは整っている」という安心感が得られるため、特に顔の印象を決めるうえで高い人気があります。
ただし、医療アートメイクはその名の通り医療行為であり、施術できるのは医師または医師の管理下で働く看護師などの有資格者のみです。
それにも関わらず、今も無資格者がエステや自宅サロンで施術を行っているケースがありトラブルも後を絶ちません。
このコラムでは、医療アートメイクの基本的な仕組みや人気メニュー、エステや自宅サロンとの決定的な違い、そして安全に施術を受けるために必ず知っておきたいポイントを、やさしく解説していきます。
このコラムを読んでわかること
・医療アートメイクがどういう施術なのか、エステのアートメイクと何が違うのかを基本から理解できます。
・施術できるのはどんな資格を持つ人なのか、安心して任せられる環境の選び方がわかります。
・違法サロンのリスクや、よくある誤解(持続期間・痛み・MRI)について正しい知識を身につけ、安全に検討するためのポイントが学べます。
大前提:アートメイクは『医療行為』に該当する

医療アートメイクは、専用の細い針やマシンで皮膚の浅い層に色素を入れていく施術で、タトゥーより浅い部分に色を入れるため負担は少ないものの、痛みを和らげるために麻酔を使う場合もあります。
こうした「皮膚に傷をつけて色素を注入する行為」は厚生労働省により医療行為と定められており、施術できるのは医師、または医師の管理下で働く看護師といった医療従事者のみです。
無資格者が医療アートメイクを行った場合、医師法違反となり行政指導や処分の対象になることもあります。
知識・技術・衛生管理が不十分な環境で行われる施術は、仕上がりだけでなく健康被害につながる可能性もあるため、必ず医療機関で受けることが大切です。
医療アートメイクの施術者になれるのはこんな人

医療アートメイクは、見た目を自然に整える繊細な施術でありながら、皮膚に色素を入れるため医療行為に分類されます。
そのため、施術を行えるのは法律で認められた医療資格を持つ人のみです。
ここでは、どのような資格者が医療アートメイクを担当できるかを、役割の違いとあわせてわかりやすく整理していきます。
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医師免許を持つ人
医師は、医療アートメイクに必要な研修を受けて知識と技術を習得すれば、施術を担当できます。
特に麻酔の選択や量の判断、トラブル時の対応には医学的な知識が不可欠で、必要に応じて表面麻酔だけでなく注射による麻酔も行える点が大きな強みです。また、施術に使用する医療用の針や色素は、医療機関で適切に管理・購入する必要があり、これらを購入することができるのも医師のみとなります。
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看護師・准看護師免許を持つ人
医師免許ではなく、看護師・准看護師の免許を持つ方も医療アートメイクの施術者になれます。実際、お客様に施術しているのは医師ではなく看護師・准看護師であるケースも多いです。
ただし、保健師助産師看護師法37条により「医師の指示を受けなければ医療行為をしてはならない」と定められているため、必ず医師が常駐している医療機関で施術することが条件となります。
また、医師が常駐していないにもかかわらず、患者様に医療アートメイクを施したり麻酔を使用したりするのは医師法に触れるため注意しましょう。
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歯科医師や歯科衛生士
歯科医師や歯科衛生士も医療アートメイクを施せますが、口腔領域のみと施術範囲が限られています。そのため、歯科医師や歯科衛生士の免許を持つ方は唇など口元のみの医療アートメイク(リップアートメイク)なら施術可能です。
ただし、歯科衛生士と歯科助手は医療アートメイクの施術は行えません。
エステや自宅サロンでアートメイク施術を行うリスク

医療アートメイクが医療行為であることを知らず、エステや自宅サロンで無資格者の施術を受けてしまい、後から健康被害が生じるケースは少なくありません。
ここでは、こうしたトラブルにつながりやすい 「法律上の問題」と「安全面のリスク」 の2つの視点から、エステ・自宅サロンで施術を受ける際の注意点をわかりやすく整理します。
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法律違反に該当する
針先に色素を付けながら皮膚の表面に墨等の色素を入れて、眉毛やアイラインなどを描く行為は医行為とされています。
そのため、医師や看護師・准看護師・歯科医師や歯科衛生士などの医療資格を持たない人が仕事として施術を行うことは法律上認められていません。
施術は、医師が責任をもって管理できる医療機関内で行われることが大前提になります。細かな状況によって判断が分かれることはありますが、一般的には医師が常駐していない施設で、無資格者が医療アートメイクを行っている場合、医師法違反に該当する可能性が高いと考えられています。
現在、エステや自宅サロンにて無資格者が医療アートメイクを行っている違法サロンは残念ながら存在しています。違法サロンは法律違反に該当し、あらゆるトラブルに巻き込まれることが想定できるため、医師名を掲げていないエステや自宅サロンは避けましょう。
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人に危害を加えてしまう可能性がある
医療アートメイクは、正しい知識と技術を持って施術しなければならない医療行為です。そのため、医師免許や看護師免許などのない無資格者がやり方を間違えて施術してしまうと、大きな危害を加えてしまう恐れがあります。
特に、目元や口元といったデリケートな部分に施す場合は、有資格者でも経験が浅いと注意する必要があるほどです。
消費生活センターによせられるアートメイク関連の苦情や相談は、基本的に無資格者が施術している違法サロンなどの無認可で営業しているところがほとんどです。独立行政法人国民生活センターによると、2006年からの5年間で121件もの苦情が寄せられていることが分かっています。
被害内容は、施術部位の化膿や角膜への傷、痛みと腫れが治まらない、眉毛の形がおかしくなってしまったなどです。これらは日常生活を送るうえで、大きな負担になり不安も募ります。
安全に医療アートメイクを行うためにも、エステサロンや自宅サロンでの施術は避けましょう。
医療アートメイクの施術メニュー

医療アートメイクで人気の部位は眉・アイライン・リップの3つです。
ほかにも、生え際を整えるヘアラインや、傷跡・妊娠線を目立ちにくくする施術など、クリニックによって多彩なメニューが展開されています。
「メイク時間を短くしたい」「ノーメイクでも目元をはっきり見せたい」「唇の血色を自然に整えたい」など、叶えたい印象によって選ぶべき施術は異なります。
気になる部位やライフスタイルに合うかどうかを確認しながら、症例や説明がわかりやすいクリニックを選ぶことが大切です。
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眉
眉は、医療アートメイクのなかでも人気の高い施術部位です。医療アートメイク初心者の方でも、アートメイクと聞けば眉を連想する方も多いでしょう。
眉は、目元だけでなく顏全体の印象を左右するため、メイクでも時間をかけて仕上げる方が少なくありません。眉の手入れも欠かさず、こまめに行っている方もいるでしょう。
仕上がりのイメージによって、眉の形も変わってきます。キレイな雰囲気か可愛い雰囲気かでも、形を変えていく必要があるため、カウンセリング時によく相談することが大切です。
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アイライン
日頃のメイクでも、アイラインは欠かさず引く方は医療アートメイクを検討すると手間が減るのでおすすめです。すっぴんでも、アイラインさえ引いてあれば目力のある印象的な顏を演出できます。
アイラインは、引き方によっても顏の印象を変えるものです。眉と同様、仕上がりの希望をカウンセリング時に伝えて決めていきましょう。
基本的にはまつ毛とまつ毛の間を色素で埋めていくため、すっぴんでも自然な目元を残せます。アイメイクの失敗を防ぎ、メイクの時間短縮にもなるため検討してみましょう。
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リップ
リップのアートメイクは、唇の色や形を変えることができます。唇のくすみや色が薄く悩んでいる方は、アートメイクで色素を入れることで改善されるのでおすすめです。
唇の色が鮮やかになるだけで、疲れた印象がなくなり肌も明るく見えます。唇の色は、肌に合わせて選ばなければ違和感のある仕上がりになることも。カウンセリング時には、唇と肌の色がマッチするリップカラーを選びましょう。
また、口角が下がっている方もアートメイクで調整できます。口角の上がった、若々しい印象を目指しましょう。
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ヘアライン
ヘアラインのアートメイクは、頭髪用のインクを使って頭皮に色素を入れて生え際の毛髪のような毛流れを描くものです。生え際のデザインを変えることができるため、元々ある毛髪の流れに合わせて馴染ませます。
おでこの広さを調節することで小顔効果が得られるため、顏の大きさで悩んでいる方におすすめです。また、前髪の透け感が減り毛量が増えたように見えるため、若々しい印象へ変化します。
施術できる範囲は、概ね生え際から1cm以内となり、大幅に額側に伸ばすことはできません。
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傷跡・妊娠線カバー
体や顏にある隠したい傷跡や妊娠によりできた妊娠線などを、医療アートメイクでカバーすることもできます。気になるところに、肌色になじむ色素を注入することで自然に目立たなくさせる施術です。
まだ日本では新しい医療アートメイクであるため、施術できるクリニックは多くありません。ですが、傷跡や妊娠線、肉割れ線などにコンプレックスを抱いている方は前向きに検討してみる価値のある施術だと言えるでしょう。
医療アートメイクのよくある3つの誤解

医療アートメイクはSNSや口コミで広く知られる一方で、「一度入れたら一生消えない」「まったく痛くない」など、実際とは異なるイメージが先行してしまうケースもあります。
そこでこの章では、質問の多い「持続期間」「痛み」「MRI検査」の3つについて、ありがちな誤解と正しい知識をわかりやすく整理します。
安心して検討するための基礎知識として、ぜひ参考になさってみてください。
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永久に持続する
医療アートメイクの持続期間は、永久ではありません。タトゥーのように皮膚の深い部分ではなく浅い表面部分に色を入れるため、肌のターンオーバーによりおおよそ2〜3年すると徐々に色が薄くなっていきます。

そのため、メイクの流行りや年齢による顔つきや好みの変化などに合わせて、柔軟に対応していく必要があるでしょう。
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施術時の痛みはない
医療アートメイクは、表面麻酔や注射による麻酔を利用できるため、痛みはほとんど感じないものとされています。しかし、麻酔の効き目や痛みの感じ方などは個人差があるため、全ての方が痛みがないとは言い切れません。
医療アートメイクは、皮膚に専用の針を使って傷をつけてインクを注入するものなので、痛みを感じる方もいるでしょう。とはいえ、麻酔により緩和されているため我慢ができないレベルではありません。
施術中、痛みに耐えられなくなった場合は、麻酔を追加してもらえないか施術者に相談してみましょう。
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MRIが受けられなくなる
医療アートメイクをしていても現在ではほとんどの場合、MRI検査を問題なく受けることができます。一部で、MRI検査中に施術部位が火傷したり、検査画像に乱れが生じる可能性があるといわれることがありますが、そのリスクは極めて低いとされています。
これまで指摘されてきた火傷の原因は、酸化鉄そのものではなく、色素中に含まれる金属成分がMRIの磁場に反応する可能性によるものです。
ただし、現在医療現場で使用されているアートメイク色素は、安全性が高く設計されており、火傷や検査画像の歪みに影響を及ぼす可能性はほとんどないと考えられています。一方で、アイラインの上下に医療アートメイクが入っている場合は、MRIの特性上、注意が必要とされることがあります。上下のラインがつながることで円状に近い状態となり、誘導電流が生じやすくなる可能性があるためです。
そのため、MRI検査中は目を閉じた状態を保ち、違和感や異変を感じた場合は、すぐにマイクや手元のスイッチで医療スタッフに伝えるようにしましょう。検査画像の乱れに関しては、ほとんどの場合において病気の診断に影響を及ぼす程ではありません。ただし、MRI検査前の問診では忘れずに医療アートメイクをしていると申告しておきましょう。
まとめ
医療アートメイクは、医師やその管理下で働く看護師・准看護師・歯科医師など、医療資格を持つ人だけが行える施術です。
おしゃれな雰囲気のサロンでも、無資格者が行っている場合は法律違反となり、感染や肌トラブルなどのリスクが高くなってしまいます。
価格や手軽さだけで判断せず、医師が常駐しているか、衛生管理がしっかりしているか、アフターケアの説明が丁寧かを必ずチェックしましょう。
眉・アイライン・リップ・ヘアライン、さらには傷跡や妊娠線を目立ちにくくする施術まで、医療アートメイクにはさまざまな選択肢があります。
大切なのは、自分の希望や体質をきちんと聞いてくれて、安心して相談できる医療機関を選ぶこと。
納得のいく説明を受けたうえで施術を受ければ、毎日のメイクや見た目の悩みがぐっと軽くなり、気持ちまで前向きになります。
よくある質問
- Q.眉毛アートの後にエステはできますか?
- A.医療アートメイク施術後、約2週間は期間をあけるようにした方がよいです。
炎症や感染リスク等を起こさないように観察する事が必要です。 - Q.眉毛サロンでの施術は違法ではないのですか?
- A.施術には医師免許が必要となるため、免許なしでのサロンでの施術は違法となります。
厚生労働省が2001年より健康被害が相次いだことを受けて、医療用の針を使用し傷をつけて色素を入れる行為は医師免許が必要となりました。

