
- 基礎知識
医療アートメイクとMRI検査の関係とは?安全性・リスク・対処法を徹底解説
医療アートメイクをしていると、「MRI検査は受けられるの?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、現在使用されている色素の多くはMRIにほとんど影響せず、基本的には問題なく検査を受けられます。
ただし、ごく一部には金属成分を含む色素もあり、施術時期や部位によっては注意が必要な場合も。この記事では、医療アートメイクとMRI検査の関係性、リスクを最小限に抑えるための対策や、医師に伝えるべきポイントなどをわかりやすく解説します。
医療アートメイクとは?仕組みと色素の安全性を知ろう

最近では、眉毛やアイライン、リップラインなどに自然な美しさを与える手段として、医療アートメイクを取り入れる方が増えています。メイクの時短になるだけでなく、すっぴんにも自信が持てることから、幅広い年代に支持されています。
しかし、医療行為として提供される医療アートメイクには、「どんな仕組みで色が入るの?」「体に影響はないの?」といった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
ここでは、医療アートメイクの基本的な仕組みや施術の特徴、使用される色素の安全性について解説します。
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医療アートメイクの概要と施術の特徴
唇は顔の中でも特にデリケートな部位であり、乾燥や荒れが起こりやすい特徴を持っています。その理由のひとつに、唇の構造的な特性が挙げられます。
医療アートメイクとは、専用の機器や針を使って皮膚の浅い層(表皮)に色素を入れ、メイクのような仕上がりを長期間キープできる美容医療の一種です。代表的な施術部位は眉毛、アイライン、リップ、そして生え際やほくろのデザインなどがあり、近年では男女問わず多くの人に選ばれています。
一般的なメイクとは異なり、水や汗で落ちることがなく、毎日のメイク時間を大幅に短縮できるのが最大のメリットです。特に「眉毛がうまく描けない」「すっぴんに自信を持ちたい」といった悩みを持つ方には、自然で整った印象を与えられる手段として人気があります。
なお、日本国内では医療アートメイクは医療行為とされており、医師もしくは医師の指示を受けた看護師のみが施術を行うことが法律で定められています。そのため、安全性を確保するためにも、医療機関でのカウンセリングと施術が原則です。
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色素の成分とは?金属との関係と安全性を解説
医療アートメイクの色素は、主に以下の2種類に分類されます。
色素の種類 概要 無機顔料 酸化鉄や二酸化チタンなどの金属成分が含まれているが、安定性が高く、アレルギー反応のリスクが比較的低い 有機顔料 多彩な色を表現できる反面、特定の化合物がアレルギーや皮膚刺激の原因となる場合がある 金属アレルギーをお持ちの方は、無機顔料に含まれる医療アートメイクの色素に含まれる微量の金属成分に反応する可能性があります。そのため、施術前にパッチテストを行い、アレルギーの有無を確認することが推奨されています。また、施術を受けるクリニックが使用している色素の成分や安全性について、事前に確認するようにもしましょう。
また、この金属成分は「MRI検査」時に場合によっては悪影響を及ぼします。MRI検査の概要と影響については次項で解説します。
MRI検査とは?

医療アートメイクをしていると「MRI検査を受けられないのでは?」と不安に感じたことはありませんか?特に、検査前に医師から「医療アートメイクの有無を教えてください」と言われて驚いたという声もよく聞かれます。
MRIは多くの病気の診断に用いられる精密検査ですが、磁気を使う特性上、体内や体表に金属を含むものがあると影響を受ける場合があります。医療アートメイクで使用される色素の一部にも微量の金属成分が含まれていることがあり、それがトラブルの原因になることもあるため、事前に確認される場合があるのです。
ここでは、MRI検査の仕組みやどのようなときにMRI検査を受けるべきなのかを解説します。
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MRI検査の仕組み
MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と電磁波を利用して、体内の詳細な断面画像を取得する先進的な医療技術です。人間の体は約60~70%が水分で構成されており、その中の水素原子は磁場に反応する性質を持っています。
MRI検査では、まず装置内で強力な磁場を発生させ、体内の水素原子の向きを整列させます。次に、特定の周波数の電磁波(ラジオ波)を照射すると、水素原子がエネルギーを吸収して励起状態になり、そこで電磁波の照射を停止すると、水素原子は元の状態に戻りながらエネルギーを放出します。この際に発生する微弱な信号を受信コイルで捉え、コンピュータで解析して画像化するのがおもな流れです。
また、検査中は装置内で「ドンドン」「ガーガー」などの大きな音が発生しますが、これは磁場を切り替える際に生じるもので、異常ではありません。また、検査時間は部位や目的によって異なりますが、一般的には20~60分程度です。
MRI検査は、さまざまな疾患の診断や治療計画に欠かせない重要な検査方法です。
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MRI検査が必要なタイミングとは
MRI検査は、放射線を使用せず、強力な磁場と電磁波を利用して、脳や脊髄、関節、内臓などの軟部組織を高精度で描出できる検査です。MRI検査が必要となるタイミングの例は以下の通りです。
- 1.脳や神経系の異常が疑われるとき
- 2.慢性的な頭痛やめまいが続くとき
- 3.関節や脊椎の痛み・しびれがあるとき
- 4.腹部や骨盤内の臓器に異常があるとき
- 5.がんの診断や治療計画の策定時 など
MRI検査は、さまざまな疾患の早期発見や診断、治療計画の策定において重要な役割を果たすため、症状が気になる場合や、医師から検査を勧められた場合は、早めに検査を受けることをおすすめします。
医療アートメイク後のMRI検査は安全?具体的なリスク

医療アートメイクをしていると、「MRI検査を受けるときに支障があるのでは?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
ネット上には「火傷をするかもしれない」「検査を断られた」という情報も見られ、不安に感じるのも無理はありません。
結論から言うと、医療アートメイクをしていても、ほとんどのケースでMRI検査はOK。ただし、施術に使われた色素の種類や部位によっては、注意が必要なケースもあります。また、医療アートメイクのあるなしにかかわらず、MRI検査自体が安全な検査なのか気になる方もいるかもしれませんね。
ここではMRI検査の安全性と、医療アートメイクがある状態でMRI検査を受ける際に考えられる具体的なリスクについて解説します。
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そもそもMRI検査は安全?
MRI検査は、放射線を使用せず強力な磁場と電波を利用して体内の詳細な断面画像を取得する先進的な医療技術です。このため、放射線被ばくの心配はなく、一般的には安全性が高いとされています。
しかし、いくつかの注意点があります。たとえば、体内に金属製の医療機器(ペースメーカーや人工関節など)を装着している場合、磁場の影響を受ける可能性があるため、事前に医師に申告しなければなりません。また、検査中に使用される造影剤に対してアレルギー反応を起こす場合も稀にあります。さらに、閉所恐怖症の方は、密閉型のMRI装置だと不安を感じる可能性があります。
MRI検査は多くの方にとって安全で有用な診断手段ですが、個々の状況に応じた注意が必要です。医療アートメイク以外でも不安な点がある場合は、事前に医師や検査技師に相談し、安心して検査を受けられるようにしましょう。
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医療アートメイクがある状態でのMRI検査時の具体的リスク
MRI検査は、強力な磁場と電波を利用する検査であるため、医療アートメイクの色素に含まれている微量の金属成分が磁場と電波に反応して熱を帯び、火傷を引き起こす可能性があります。特に、アイラインの医療アートメイクでは、色素が目の周りにリング状に入ることが多く、磁場の影響で誘導電流が発生しやすくなります。過去には、検査中に目を開けた状態で受けたことで、医療アートメイクを施した箇所が円状となり、そこに局所的な熱が発生しやけどを負った事例があります。
医療アートメイクがある場合でもMRI検査を受けられますが、施術部位や使用された色素の成分によっては注意が必要です。
MRI検査に安心な医療アートメイクの選び方

医療アートメイクをしている方でも、基本的にはMRI検査を安全に受けられます。近年では色素の品質も向上し、MRIへの影響がほとんどないケースが多くなっています。
とはいえ、ごく一部の色素には金属が含まれており、検査時に画像に乱れが出たり、ごくまれに熱感を生じるリスクもゼロではありません。こうしたリスクをさらに抑えるためには、施術前に適切な知識を持っておくことが大切です。
ここでは、MRI検査を想定した医療アートメイクの選び方として、施術方法の見極め方、色素の成分確認のポイントについてご紹介します。安全性をしっかり確保したうえで、理想の仕上がりを目指しましょう。
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施術方法の見分け方
医療アートメイクを受ける前には、将来的なMRI検査への影響を考慮するようにしましょう。検討の際には以下のポイントを参考にしてください。
ポイント 概要 必ず医療機関で施術を受ける ・アートメイクは医療行為に該当するため、医師免許を有する人が執刀しなければならない
・万が一違法な店舗で施術を受けてしまうとMRI検査のみならずさまざまなリスクを抱える可能性がある施術前のカウンセリングを重視する 施術前には、使用される色素の成分や施術方法について、施術者に詳しく尋ねる 特に、施術前のカウンセリングであらためてMRI検査への影響と使用される色素についての確認を行っておくと安心して施術を受けられます。施術前に確認すべき色素の成分と基準については次項にて解説します。
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施術前に確認すべき色素の成分と基準
医療アートメイクを検討する際、将来的なMRI検査への影響を最小限に抑えるためには、使用される色素の成分とその安全基準の確認は大切です。特に、色素に含まれる酸化鉄のうち以下の磁性物質がMRI検査時に痛みを引き起こす可能性が高くなります。
- 1.マグネタイト
- 2.ゲーサイト
- 3.ヘマタイト
医療アートメイクを行う際には、事前に上記の磁性物質が含まれているかを確認しましょう。また、色素の安全性を判断する基準としては、FDA(アメリカ食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)の認可を受けた製品であるかというものが挙げられます。これらの機関の認定基準は厳しいものであるため、認可を受けていれば安全性が高い色素であるといえます。
MRI検査を受ける前に医療アートメイク経験者がすべきこと

医療アートメイクをしている方でも、多くの場合は問題なくMRI検査を受けられますが、「何を伝えればいいの?」「もし何かあったら…」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、医療アートメイク経験者がMRI検査前に行うべき準備や、医師に伝えるべきポイントについて、具体的にご紹介します。少しの工夫と正しい知識が不安の解消につながりますよ。
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医師に伝えるべきポイント
医療アートメイクを施している方がMRI検査を受ける際、事前に医師に適切な情報を伝えることは、安全な検査を行うために非常に重要です。以下のポイントを参考に、医師に伝えるべき情報を整理しましょう。
ポイント 概要 医療アートメイクの施術部位と施術時期 医療アートメイクを施した部位(眉、アイライン、リップなど)と、施術を受けた時期を正確に伝える 使用された色素の情報 医療アートメイク施術時に使用された色素の種類や成分についての情報を提供する 施術を受けたクリニックの連絡先 施術を受けたクリニックの名称や連絡先を医師に伝えておく 上記の情報を事前に医師に伝えると、MRI検査中のリスクを最小限に抑え、安心して検査を受けられます。不明な点や不安がある場合は、遠慮せずに医師や医療スタッフに相談しましょう。
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MRI検査の不安を軽減するためには
MRI検査は安全な検査であり、医療アートメイクをしている方でも基本的には問題なく受けられるとはいえ、特に初めて検査を受ける方は不安に思うこともあるかもしれませんね。その不安を軽減するためには、以下の方法を実践してみてください。
- 1.施術を受けたクリニックに連絡し、MRI検査を受ける旨を説明しアドバイスをもらう
- 2.検査当日は万が一痛みが出るようならすぐに医師・看護師に伝えるように心がける
- 3.MRI検査は密閉空間で大きな音に晒されるため、アイマスクや耳栓を用意しておく など
上記の方法を実践すれば、MRI検査への不安を和らげられます。
まとめ
医療アートメイクを施している方にとって、「MRI検査は受けられるの?」という疑問は、とても自然なものです。実際には、現在主流となっている色素の多くは安全性が高く、MRI検査に大きな影響を与えることはほとんどありません。
とはいえ、ごく一部のケースでは金属成分が検査画像に影響を与えたり、軽い熱感を引き起こす可能性もあるため、施術前・検査前にしっかりと準備する必要があります。
安心してMRI検査を受けるためには、次のポイントを意識しましょう。
- 1.使用される色素の成分や安全性を事前に確認する
- 2.信頼できる医療機関で施術を受ける
- 3.施術を受けた部位や時期、色素の情報を検査前に医師へ正確に伝える
- 4.不安がある場合は、あらかじめクリニックや医療スタッフに相談しておく
医療アートメイクとMRI検査は、きちんと情報を共有すれば両立が可能です。安心して施術を受け、必要な検査もスムーズに進められるようにしましょう。
よくある質問
- Q.医療アートメイクを受けた後にすぐMRI検査を受けても大丈夫ですか?
- A.施術直後の皮膚は敏感な状態のため、少なくとも1〜2週間空けるのが望ましいとされています。
- Q.MRI検査時に医療アートメイクが原因で問題が発生した事例はありますか?
- A.検査中に目を開けた状態で受けたことで、医療アートメイクを施した箇所が円状となり、そこに局所的な熱が発生しやけどを負った事例があります。
- Q.医療アートメイクを受ける前にMRI検査を計画していますが、どのような準備が必要ですか?
- A.施術を予定しているクリニックに、MRI検査を控えている旨を伝え、使用する色素や施術方法について相談してください。