- 基礎知識
歯科医師のキャリアに役立つ医療アートメイク講習|将来性・費用・法的ポイントを解説

歯科医師として日々診療にあたる中で、「キャリアの幅を広げたい」「自費診療の領域を強化したい」と感じる瞬間はありませんか?
美容医療分野の中でも近年注目を集めているのが、医療アートメイクです。
特に「リップ」「口唇中心」「歯周組織とのバランス」といった領域は、まさに歯科医師が日頃から深く関わる分野。
安全性・美しさ・機能性を理解している歯科医師だからこそ、医療アートメイクでその専門性を生かせる場面が広がっています。
本コラムでは、歯科医師が医療アートメイクを学ぶ意義、法的な位置づけ、講習の費用対効果、スクール選び、導入に向けた院内整備、そして実際の成功事例までを分かりやすく整理しました。
キャリアの“次の一歩”を考える歯科医師の方にとって、医療アートメイクという新しい選択肢の可能性を感じていただければ幸いです。
このコラムを読んでわかること
① 歯科医師と医療アートメイクの相性・導入メリットが理解できる
医療アートメイク、とくにリップの領域は歯科医師の専門性と親和性が高く、自費診療の幅を広げ、審美性までカバーする“口元トータルケア”として、新たなキャリア軸になる理由が分かります。
② 安全に導入するための法的位置づけと注意点が分かる
医療アートメイクが医療行為とされている背景や、歯科医師が担える施術範囲など、導入前に押さえておきたい法的ポイントが理解でき、リスクを避けるための判断材料が得られます。
③ 講習費用・収益性・価格設定など費用対効果をイメージできる
講習費用の相場、リップアートメイクの収益性、価格設定の考え方など、導入した際の費用回収のイメージがつかめます。
④ 導入前に整えるべき環境・講習選びの基準が分かる
必要な機器など、歯科医院で医療アートメイクを提供する前に準備すべき環境が整理できます。また、歯科医師向けに最適な講習の選び方も理解できます。
歯科医師のキャリアに医療アートメイクが役立つ理由

医療アートメイクは美容医療の中でも特に成長が著しい領域です。その中でも「リップ(口唇)」は歯科領域との親和性が高く、口元の構造・色・バランスを熟知する歯科医師だからこそ強みを発揮しやすい施術といえます。
ここでは、歯科医師のキャリアに医療アートメイクが大きなメリットをもたらす理由を整理していきます。
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医療アートメイク需要の拡大と歯科領域の親和性
美容医療分野において、医療アートメイクは眉・アイライン・リップなど、”見た目の変化が分かりやすい施術”として人気が高まり続けています。
歯科医院でも、審美歯科・矯正治療・口腔外科などを通じて「口元の美しさ」への関心が年々上昇しています。そこにリップアートメイクを併設することで、“歯並び+口唇デザイン”というトータルビューティーでの差別化が可能になり、患者満足度の向上にもつながります。
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リップ施術は歯科医師の専門性を活かしやすい
口唇周囲は、歯科医師が日頃から扱う領域そのものです。口腔解剖・血管走行・粘膜構造・色彩・審美的バランスなど、歯科医師が強みとして持っている知識と技術がダイレクトに生かせる施術です。
リップ特化の医療アートメイク講習を受講すれば、既存の専門性をそのまま活かしながら、新しいサービスを導入しやすくなります。
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キャリアの幅が広がる理由(自費診療の強化・差別化)
歯科医院にとって、自費診療の強化は、収益面・ブランディング面の両軸で大きな意味を持ちます。
医療アートメイクを導入することで、”口元のトータルケア”を提供できる歯科医院として差別化が可能になり、診療の幅が広がるだけでなく、歯科医師自身の市場価値アップにもつながります。
院内で完結しやすい施術でもあるため、既存スタッフとの連携も図りやすく、導入のハードルも比較的低い点が魅力です。
歯科医師が医療アートメイクを学ぶメリット

歯科治療の現場では、機能面だけでなく”見た目の美しさ”に対するニーズが確実に高まっています。医療アートメイクを取り入れることで、口元の仕上がりをより自然で美しく整えるサポートが可能となり、治療価値の向上にもつながります。
ここでは、歯科医師が医療アートメイクを学ぶことによって得られる具体的なメリットを紹介します。
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歯科治療に“審美性”の価値をプラスできる
歯科治療では機能回復+審美性の両立が求められる場面が多くあります。医療アートメイクを導入すれば、歯並びや噛み合わせの改善だけでなく、唇の色味・輪郭など、より細かな”口元全体の美しさ”までアプローチできます。
治療の最終的な仕上げとして口元の印象を整えられるため、患者さんの満足度向上にも大きく貢献します。
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口腔外科経験を活かせる安全な施術スキル
唇や口元の施術は、血管や神経、粘膜の構造など、高度な解剖学的知識が必要となる領域です。この領域は、まさに歯科医師が口腔外科で培ってきた強みがそのまま活かせます。
講習で学ぶ、
- 専用機器の操作
- 色素の選定
- 感染リスクの管理
といった実技スキルと組み合わせることで、安全性の高いリップアートメイクが提供可能になります。
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歯科衛生士とのチーム医療に発展しやすい
医療アートメイクを導入すると、カウンセリング・施術後のケア・患者教育といった部分で歯科衛生士や歯科助手との協働が非常に重要になります。
“歯科+医療アートメイク”という診療スタイルをチームで進めることで、医院の価値向上やスタッフのスキルアップにもつながり、組織としての成長も期待できます。
歯科医師が押さえておくべき法的ポイント

アートメイクは厚生労働省によって「医療行為」に位置づけられています。そのため、施術を行うには医療資格と適切な医療体制が必要です。
歯科医師が医療アートメイクの導入を検討する際は、施術範囲や体制づくり、リスク管理を正しく理解しておくことで、より安全に、法的なトラブルなく運用できます。
ここでは、医療アートメイクの法的位置づけと歯科医師が知っておくべき要点をまとめます。
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アートメイクは医療行為とされる法的位置づけ
厚生労働省は、令和5年7月3日付で「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」との通知を各都道府県衛生主管部長あてに発出しています。
この中で、例えば「針先に色素を付けながら皮膚の表面に墨等の色素を入れて、(1)眉毛を描く行為、(2)アイラインを描く行為」を業として行った場合には、医師法第17条に違反する可能性があると明確に示されています。
また、医師法第17条では「医師でなければ、医業をしてはならない」と規定されており、アートメイクは医学的判断・専門技術を伴い、人への危害を及ぼす可能性がある行為として、医行為(医療行為)に該当しうるというものです。
そのため、医療アートメイクを提供する場合は、医療機関としての体制整備や、施術者の資格が重要になるのです。
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歯科医師が行える施術範囲(リップの根拠と注意点)
歯科医師が行える医療アートメイクの範囲は、リップのみとなります。これは、口唇・口腔周囲の解剖生理、血管や神経、粘膜への対応について、日頃から深い知識と経験を持っており、口腔審美の改善を目指した医療行為の一環として施術が可能であるためです。
ただし、医療アートメイクの提供にあたっては、
- 医療機関としての体制(衛生管理・設備)
- 十分な同意取得
- 感染対策
- 術後フォロー
などを整え、医療機関として責任ある提供が求められます。
また、歯科医師による医療アートメイクは実践例がまだ多くないため、法的・倫理的な観点から顧問弁護士や医療法務の専門家にあらかじめ相談しておくことが安心です。
歯科医師向け医療アートメイク講習の費用と費用対効果

医療アートメイクを導入するうえで、多くの歯科医師が気になるのが「どれくらい費用がかかり、どのくらいで回収できるのか」という点です。
ここでは、講習費用の相場、リップアートメイクの収益モデルなど”費用対効果”を分かりやすく整理していきます。
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講習費用の相場と必要な期間
リップの医療アートメイク講習の費用相場は、数十万円〜百数十万円 が一般的です。(内容:実技指導、機器レンタル、色素費用など含むケースもあり)期間は数日〜数週間の集中型を中心に用意されていることが多いです。
また、歯科医師の場合はさらに
- 専用機器の導入
- 施術場所の整備
- スタッフへの研修
といった院内準備も必要になります。
そのため、総投資額としては100~300万円規模になるケースも想定されます。
これは高額に思えますが、リップアートメイクの単価設定や回転率を踏まえると、回収は決して難しくありません。 -
リップアートメイクの収益性と回収モデル
リップアートメイクは、
- 施術時間が比較的短い
- 自費診療として単価を設定しやすい
という理由から、収益性が高い施術です。
例として、
1回 10〜15万円の価格設定 × 月10件
を想定した場合、
→月100〜150万円、年間1200〜1800万円の売上に相当します。もちろん集客体制や診療時間の確保は必要ですが、歯科医院では既存患者の来院動線と相性が良く、比較的導入しやすい点も大きなメリットです。
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自費診療としての価格設定の考え方
歯科医院で医療アートメイクを新メニューとして展開する場合は、次のポイントを基準に価格を設計するとスムーズです。
- 既存の審美歯科メニューとの整合性
- 地域の美容医療の相場感
- 医院ブランドとのバランス
また、歯+唇をセットで考える「口元トータルケアプラン」のようにメニュー化すると、歯科ならではの統合的な価値が伝わりやすくなります。
さらに、
- 初回限定プラン
- 年間メンテナンス契約
などを組み合わせることで、継続来院やリピートを促す仕組み作りも可能です。
歯科医師が選ぶべき医療アートメイク講習とは

医療アートメイク講習は全国に数多く存在しますが、歯科医師として導入する場合は”どの講習を選ぶか”が成功の分かれ目になります。
特にリップ(口唇)領域に強い講習を選ぶことで、歯科医師として培った専門性を最大限発揮しやすくなり、安全性・仕上がり・患者満足度に直結します。
ここでは講習選びで必ずチェックしたいポイントを整理します。
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リップアートメイクに特化したコースの重要性
リップ施術では、
- 口腔周囲の解剖理解
- 唇と歯列・歯茎のバランス
- 血管走行や腫れの出方
など、唇周辺ならではの知識や技術が必要となります。
そのため、リップアートメイクに特化したカリキュラムを持つ講習や、口元の症例を多く扱っているスクールを選ぶことで、より深くリップアートメイクを学ぶことができるでしょう。 -
歯科医師向けカリキュラムで確認すべき点
リップアートメイクは安全性や解剖学の理解が欠かせないため、歯科医師が学ぶべき内容をしっかりカバーしているかどうかが重要です。
以下の項目を基準に講習を比較してみましょう。- 歯科医師参加実績があるか
歯科医師の受講実績があるスクールは、口元の審美に強い指導体制が整っている傾向があります。 - 口腔・口唇領域の症例数が豊富か
リップは個人差が大きく、色の入り方や腫れの度合いもさまざまです。症例数が多い講習ほど、ケースごとの判断力を身につけやすくなります。 - 衛生・感染対策・機器取り扱いを歯科視点で教えているか
唇は血管や粘膜が近く、口腔内細菌の影響も受けやすい部位です。滅菌・感染管理・安全対策など、歯科特有の視点を反映した指導があるかどうかは決定的なポイントです。 - アフターケア・トラブル対応(ヒアルロン酸併用・唇の腫れ等)を含んでいるか
リップ施術は腫れ・発赤・ムラが出やすい部位です。術後フォローやトラブル時の初期対応、ヒアルロン酸注入との併用など、患者にすぐに還元できる情報を丁寧に教えてくれるかどうかも重要です。
これらがしっかり押さえられている講習は、歯科医師が安全に医療アートメイクを提供するための“基盤”を確実に作ることができます。
受講前に比較し、医院の診療スタイルや導入目的に合った講習を選ぶことが大切です。 - 歯科医師参加実績があるか
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症例数・指導体制・実技サポートで比較する
講習選びで最も差が出やすいのが、講師の実績・実技の密度・修了時のフォローです。
比較する際は次のポイントを目安にすると失敗しにくいです。
- 講師の臨床経験・症例レベル
- 実技時間が十分確保されているか
- 修了後に症例相談できる体制(オンライン添削・施術後のフォロー相談)
- 導入後の院内サポート(スタッフ教育・機器運用)
歯科医院での導入を成功させるには、“学んで終わり”ではなく“導入後もサポートが続く講習” を選ぶことが最重要と言えます。
受講前に整えたい院内環境

医療アートメイクを導入する際は、講習の修了だけでは不十分です。安全に施術を行うための、院内の設備・動線・衛生管理体制を整えることも欠かせません。
歯科医院はもともと感染対策のレベルが高いため、その強みを活かしながら医療アートメイクに必要な環境を追加整備することで、スムーズかつ安全に導入できます。
ここでは、事前に準備したいポイントを整理します。
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施術機器・色素・消毒器具など必要な準備
医療アートメイクの導入には、以下の機器や資材の準備が必要になります。
- 専用マシン(カートリッジニードル、ペンタイプ等)
- リップ用の安全性・発色に優れた色素
- 滅菌・消毒設備(オートクレーブ、滅菌パック)
- クリーンな施術スペースの確保
歯科医院はすでに滅菌・感染管理のプロトコルが確立しているため、その体制がそのまま活かせる点は大きなメリットです。医療アートメイク特有の備品を追加するだけで、導入しやすい環境が整います。
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衛生管理と動線の見直しポイント
医療アートメイクでは、安全性の確保のために独自の衛生管理項目が追加されます。
歯科の既存体制をベースに、以下を見直しておきましょう。- 施術前のカウンセリング動線
- 術中の唾液・血液・浸出液の飛散防止対策
- 術後のケア・使用器具の消毒・廃棄ルール
- 口唇部位特有の衛生ポイント(色素の流出防止、粘膜部位のケア)
すでに衛生レベルの高い歯科医院であれば、医療アートメイクに必要な項目を加えるだけで十分な体制が構築可能です。
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患者さんへの説明・同意取得の工夫
医療アートメイクは美容施術であるため、患者さんの期待値も高い傾向があります。
そのため以下の項目を丁寧に説明し、同意書を整備しておくことが重要です。- 施術の目的・仕上がりのイメージ
- ダウンタイム(腫れ・色の変化)
- 色の持続期間・メンテナンス時期
- 感染・色むら・アレルギーなどのリスク
- 術後ケアの方法
歯科治療と連動した説明資料や、「口元トータルケア」として統合的に説明するツールを用意すると、患者さんの安心感が大きく高まります。
まとめ
歯科医師として「キャリアをさらに充実させたい」「他院と差別化を図りたい」とお考えなら、医療アートメイクは非常に有力な選択肢です。
特にリップアートメイクは、口唇・口腔領域の知識を持つ歯科医師だからこそ、安全性と仕上がりの両面で強みを発揮できます。審美+機能の視点から患者さんの満足度を高められる、将来性の高いメニューといえるでしょう。
歯科医院に医療アートメイクを取り入れることで、「歯並び × 唇 × 口元全体の印象」を一貫してデザインできるようになり、患者さんへ“口元からのトータルケア”という新しい価値を提供できます。
適切な準備と信頼できる講習を選べば、歯科診療に新しい軸をつくり、キャリアの幅を大きく広げることが可能です。まずは、講習の比較検討や院内体制の見直しから。
あなたの専門性を活かした新しいキャリアが、ここから広がっていきます。

